デザインと公共サービス(京丹後編)

京丹後市という自治体に向けた、デザインと公共サービスの関係についての話

2022年の初秋、私たちは京都府京丹後市という自治体がシリーズとして実施しているオンラインセミナーに登壇する機会を頂きました。このセミナーは、公務員と地元企業の両方が、日々の課題に対して新しい視点から光を当ててみようという取り組みの一環であり、トレーニングコースというよりも、秋に4回にわたって開催される遠隔会議となっています。

京丹後市は、日本海に面した人口5万人ほどの自治体です。SNSなどのネット上では「京都の海」と称され、地域の誇る観光や食産業への取り組みが盛んに行われています。 

しかし、日本全国の多くの自治体と同様に、京丹後市もまた、過疎化や65歳以上の人口比率の上昇を経験しています。

https://www.city.kyotango.lg.jp/material/files/group/24/dai2syou.pdf 

このような人口構成の変化は、テクノロジーの普及と相まって、都市やビジネスがこれまでと同じような方法では運営できなくなることを意味しています。新しい世帯を呼び込むことが目的であれ、既存のコミュニティに十分なサービスを提供することが目的であれ、サービスの提供方法を改善する方法を積極的に模索する必要があるのです。  

シニアンは、ユーザー中心主義を通じて、既存のサービスを改善し、新しいサービスをデザインすることを目的としたデザインエージェンシーです。自らの根幹である人間味あふれるスカンジナビアデザインの伝統を日本の文脈に適用し、両者のもつ長所を両者の持つ長所を最大限に引き出すことを目指します。

当日ご参加頂いた40~50人の方々の多くは、サービスデザイン全般や、公共サービス向上のためにデザイン手法が実際に適用されているデンマークの事例を聞いてみたいという公務員の方々でした。 

セミナーでは、まず基本的なサービス理論を紹介することから始め、さらにサービス自体を構成要素に分解し、その関係性を浮き彫りにしました。そして、デンマーク社会の特徴である「信頼」や「Quality for All(万人のための品質)」の考え方を紹介しました。これらは、世界中の多くの人々が認める、幸福で生産的かつ安全な国というデンマークを構成する基本的な要素となっています。

そして最後に、これらの価値観の関連性と、価値観とデザインとが相互に作用して、プラスの強化サイクルを形成していることを明らかにしました。デザインが優れていれば、人々はそれを信頼し、より多く使用するようになります。そしてその結果として、サービスを提供し、向上させるためのより良いプラットフォームが創り出されていくのです。

日本の場合、時間とお金が許せば考えるかもしれない程度の付加的で軽薄なものではなく、市民生活や公共サービスに近い組織を増やし、市民が実際に必要としているサービスをより良い形で提供するためのアプローチとしてデザインを組み入れていくことがまず基本となるのではないでしょうか。 

京丹後の会場で寄せられた質問や反応からは、日本中の保守的なサービス組織において、デザインに取り組む必要性が広く理解されていることが読み取れます。

参加者コメント①

私はもともとITに強い関心があるのですが、それを人々に役立てるには、顧客や市民への理解を深めることが大切であり、プログラムの勉強だけでなく幅広い分野の知識・経験が必要なのだと感じました。

参加者コメント②

デンマークの話など、あまり馴染みのない話も多く聞いていて面白かったです。FrontとBackの話と図はわかりやすく、今後仕事を行う上で心にとめておきたい内容だと感じました。ありがとうございました。